森のひとりごと

早朝除草作業に嵌ったか?

 10数年前に「草むしりは奥が深い」というエッセイを書いた。そのエッセイでも述べているはずだが、実は僕は草むしりが好きである。いや、長い間自宅の庭の除草はシルバー人材センターに任せていて自分では作業をしていないのだから、かつては好きだったと言うべきか。長く人任せにしながらそんなことを言ってもにわかに信じてはもらえないとは思うけれど、20年ほど前までは早朝によく庭に這いつくばって草むしりをしていたものである。もちろん汗みどろになるし、腰は痛くなるし、爪に泥が入り汚くなる。それでも僕は草むしりが本当に好きだったのだ。

 何が面白いのか?上手く説明できないのだけれども、雑草の根の先まで引き抜くことができた時の満足感とでも言えば良いのだろうか。微妙に指の力を加減しながら引き抜いて根っこの先まで取れた時の快感は何とも言えないものがある。一方、草は取れても根っこが残った時は不満が残る。だから作業には集中力が求められることになる。その結果、1時間ほども続けていると無心になれるのである。ストレスや雑念が消え心が解放されると言ったら言い過ぎか。

 そうは申せ、実際には随分長い間その作業を人任せにしてきたのである。ところがここにきて庭の草むしりとは違うかたちの除草作業に時間を割く必要に迫られることとなってきたのだ。それは自宅の隣にある梨畑の除草である。父が今まで老体に鞭打ちやってきてくれていたのだが、95歳の身には重い作業だと愚息がやっと気付き、遅ればせではあるけれど僕が始めることとなった。

 まずは、父が使ってきた乗用の除草作業車を使ってみた。車高の低いゴーカートのような作業車で畑の中を縦横に動いて除草していく。結構面白いのだが梨の樹体や鉄線棚の支柱などにぶつからないように注意を払うことを学ばされた。これだけでは樹体の際までの除草ができないので、次はよく使われている刃が回転する刈払機の登場である。僕は早朝にしか時間が取れないので、近所迷惑にならないようにバッテリー式のものを購入し、刃ではなくナイロンワイヤーを回転させる方式で作業をすることとした。さらには、除草剤を噴霧して面的に草を枯らすことも必要だ。父が使ってきた噴霧器があるのだが、初心者である僕に大容量のものは向かないと考え、これもまた充電式の7リットル容量のものを購入した。

 同時に、知人が勧めてくれた除草剤を買ったのだが、その際に面白い体験をした。不明にも購入に印鑑がいることを知らなくて出直そうとしていると、鍵のかかった保管箱の上に「6番レジの横に認印売り場があります」と記載されているのを見つけて驚くと同時に笑ってしまった。

 いずれにしても、そんなこんなで道具をそろえながら僕の除草作業が始まったのであった。前述の庭の草むしりと違って、面的に刈ったり枯らしたりするという作業だから根っこを引き抜くという快感はないものの、結構無心になって作業をすることができ、なかなかに楽しい時間となっている。雑草にあわせての除草剤の希釈率など勉強しなければならないことがたくさんあるけれど、楽しみながら経験を積んでいきたいと思っている。

  実はこの稿を3日連続で早朝除草作業をした午後に書いているのだが、 今朝、娘に次のように注意された。「いつもと違ってお父さんが後からお風呂を使うのでバスタブを洗えない。今日は洗っておいてね!」と。今朝は除草で出た汗をお風呂で流した後、汗をかきつつお風呂掃除ということになった。それもまた楽しい作業ではあったけれど…。

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