森のひとりごと

2020年9月11日

2020.09.12

 今、ある事情があって土日も平日の夜も県内のあちこちを飛び回ってミニ集会でミニ演説を続けている。もともとこういう運動が嫌いじゃないので楽しみながら、かつ、真情こめて、熱く富山県のありようを訴えている日々である。そんな中で、過日、次の会場に移動しようと慌てて車に乗ろうとした僕をつかまえて離さない人がいた。彼曰く、「富山県民の歌を復活させんな駄目だ!あんないい歌を、大好きな歌を何故にないがしろにしているのだ!まったく許せない」。まあ、こんな主張なのである。内心、僕も同感なので我が意を得たりと大満足な心地だった。しばし二人で富山県民の歌で盛り上がっていた。ときどき、こういう人に出会うが、その都度心の中でひとり密かに歌っているのである。正直に言うと、今の「ふるさとの空」だったかな、よく知らないのである。もちろん、歌詞もメロディーもまったくうろ覚えで、宴会の終わりなどにみんなで歌う状況になると小さな声で取り繕っている次第。申し訳ありません。
 久しぶりに富山県民の歌のことが話題になって、何年か前のプサンの夜の出来事を思い出した。このエピソードを改めて記述するよりも、以前に書いたエッセイの一部をコピーして披露する方が良かろう。

『釜山の夜の出来事であった。説明会や関係者を招いてのレセプションを終えたあと、随行の職員とともにホテル近くの屋台に繰り出した。そこで偶然に出会ったのが60才前後のご夫婦であり楽しく時間をともにした。驚いたことに2人は福島県に暮らしていて、震災の被災者であった。奥さんが韓国の人なのでしばらくは釜山にいるのだと話してくれた。やがて彼らは親しい友人が富山県出身者であり、しばしば富山自慢を聞かされていると話してくれた。富山は良いところなのでぜひ訪ねてみたいと言いながら、(本当にビックリしたのだが)なんと「仰ぎ見る立山連峰。朝空に輝くところ…」と、「富山県民の歌」を歌い始めたのであった。いくら親しい友人同士でも僕の周りには、例えば山口県民の歌を教えてくれる者はいない。あのご夫婦の友人である県人の郷土愛には脱帽せざるを得ない。何よりも「富山県民の歌」の威力はすごい。あとはご想像の通り。夜の釜山の一隅にしばし歌声は続いたのであった。』

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