どうなる、どうなる、ドナルドダック

森 雅志 2004.09


 このコーナーのテーマとしては相応しくないかも知れないが自殺について考えてみたい。
実は日本は世界的に見て自殺の多い国である。 (因みに女性の自殺率が他の国に比べて高いことや、80歳以上の男性の自殺率が高いといった特徴が見られる。)そうは言っても1998年以降の数は高すぎると言われている。毎年三万人以上の人が自殺をする社会というのは普通ではあるまい。
 自殺者急増の背景として、病気の苦しみ、地域社会の都市化現象、不況によるリストラや倒産、家庭や地域社会での人間関係の希薄化などが影響していると言われている。こういった様々な要因から過剰なストレスが積み重なり、うつ病や抑うつ状態になる人が急増し自殺者増につながっているようだ。
 そもそも自殺は動物には見られないものであり、人間固有の心理的問題である。しかし同時に社会的な問題なのだ。例えば、自殺者の後ろにはその3倍の未遂者がおり、その10倍の人が心にトラウマを負うと言う学者もいる。そう考えれば自殺者急増の社会への影響は極めて大きい。
 そして、このことに対する政治の責任もまた極めて大きいと言わざるを得ない。政治がその使命を果たし社会基盤を確かなものにすることで、不況にも病気にも負けない強さや心のゆとりを持つことのできる社会にしていかなくてはならない。
 しかし、一番のポイントは日本人の死生観が大きく変質してきたことにあると思う。つまり生きるということが軽んじられている時代だということだ。人の命が軽んじられているからこそ凄惨な殺人や虐待が多発し、自殺が急増しているのであろう。そうだとすれば、「何故、生を受けたのか。何故、生きなければならないのか。」ということを今の時代を生きる我々全員が真剣に問い直してみることから始めなければならないのではないのか、と思う。

 ところで、壁にぶつかったり隘路に陥ったときに、真面目に悩むあまりますます深みにはまってしまうということがある。その結果抑うつ状態になり、心の病にまで達する人がいる。几帳面で発散がうまくできないタイプに多い。当然ながら僕も時々はスランプに落ちたり、途方に暮れたりすることもある。しかし、生来のチャランポランな性格も手伝って、そんな時に抑うつ状態にまでなるということはない。極めて困難な状況に陥ってもその都度「なんとかなるサ」で乗り切ってきたのだ。仮に大きな失敗をしたとしても「しょうがない。落ち込んでもどうなるものでもない」と気分を切り替えることにしている。そんな時に一人で口にして自分を励ます一言がある。「どうなる、どうなる、ドナルドダック!」と小さく叫ぶのである。僕はこの一言でやる気を回復できるのだ。(まことに有り難い性格だと思う。)皆さんも一度お試しあれ。


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