バスでデート気分はいかが?

森 雅志 2005.06


 過日、妻と二人で美術館めぐりをした。この4月から運行を開始した「ミュージアムバス」を利用してみたのだ。富山駅前のCICビルを起点として市内にある美術館を巡回している無料のバスのことである。
 それぞれの美術館には1時間ごとにバスが来るので、どの美術館を利用するにしろ1時間で鑑賞を終えればちょうど次のバスに乗れるという仕組みになっているのだ。
 自宅をマイカーで出た僕らは最初に水墨美術館に行った。「円空展」はさすがに人気が高く館内は随分と賑わっていた。鑑賞を終えると駐車場に車を残してミュージアムバスに乗り込んだのである。いよいよ美術館巡りのスタートだ。数分後に民俗民芸村に到着。ここで10人ほどの人が降りて、乗客は僕ら二人だけになってしまったが久しぶりのデート気分で仲良く並んで座っていた。
 やがてCICビルに着き、ここで10分程の時間調整。毎時00分にここを出るという仕組みが分りやすくてなかなか良い。
 バスはやがて近代美術館に寄った後、市民プラザに到着。僕らはここで下車してグラスアートギャラリーと国際会議場の藤田喬平ガラス作品群を鑑賞。その後はブラブラと歩いて佐藤記念美術館に回り「江里佐代子・截金の世界」を楽しんだ。人間業とは思えない工芸の世界に感動する。そしてもう一度バスに乗り水墨美術館に戻ったのだった。
最初の円空展を含めて所要時間3時間の美術館巡りであった。お陰で彫刻、ガラスアート、金箔工芸という異なる美術の世界を充分に堪能することができたのである。そして移動時にはバスの車窓から若葉があざやかな街路樹や街並みを楽しみ、車中では乗り合わせた多くの方との会話を楽しんだ。お陰で気持ちの良い休日を過ごすことができた。このようにこのミュージアムバスは使い方を工夫すれば余暇時間を大いに充実させてくれるものだと思う。多くの市民の皆さんに利用して欲しいものだ。
 郊外からのバスでも都心で乗り降りした場合には100円で利用できるという「お出掛け定期券」の利用者が当初の予想よりも伸びているように、ミュージアムバスの利用者も増えていけば美術館巡りのバスを企画した者としては大変に嬉しく思う。
 「お出掛け定期券」のアイデアは博多の西鉄バスが都心のみ100円で運行しているのを見て思いついたのだが、制度全体を作り上げるまでには随分苦労をした。「ミュージアムバス」の方も美術館巡りのバスがあれば便利だという単純な発想で取り組んだのだが既存のバス路線に影響が出ることから簡単ではなかった。実は両方の施策ともバス事業会社の理解と協力のお陰で成り立っているのである。だからこそ市民の皆さんには路線バスを含めた色々なバスを精一杯利用して欲しいと思う。ひょっとしたら僕ら夫婦のようにデート気分を味わえるかも知れませんョ。



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