身勝手増殖時代

森 雅志 2007.05.05


 公共施設やショッピングセンターなどには障害者向けの駐車スペースが設置されていることが多い。障害者用と表示されていなくても車いすを表すマークが書かれている駐車スペースを見たことのある人は多いと思う。当然の事ながらこのスペースは障害のある人の移動距離を考えて施設の出入り口に近い場所に設置されていることがもっぱらである。その結果、世の中にはびこる横着な恥知らず健常者が平気な顔をして駐車をするというなんとも情けない事態が頻発しているのである。
 しかもこういった横着者には悪びれるどころか開き直った風をよそおう者が多いのだ。過日もテレビで「文句あっか!」みたいな発言をしている馬鹿オヤジを見かけたが、驚くべき恥知らずぶりに報道する側が配慮したのか顔にはモザイクが掛けられていた。しかしこんな手合いこそ顔も車のナンバーもしっかりと放送すべきだと思うのだが。
 そもそもこういうスペースが設置されているということは、電車の中のシルバーシートと一緒で、社会全体で弱者に対して優しくしていこうという配慮なのである。昔はこういった手当てはなかった。なかったけれどもそのころの社会は当然のこととして弱者に優しい社会だったのである。多くの人間に「忍びざるの心」があったのである。弱者を見捨ててなどおかなかったのである。残念ながら最近の世相はそのことが薄れてきたけれども、障害者向け駐車スペースやシルバーシートなどの配慮をしながらなんとか社会が持っている機能を発揮しているのだと思う。それでさえも本来的ではないと思っているのに、何処にでも平気で駐車をする横着者のことを考えるとまことに腹立たしい。
 車の運転に関して言えば、横着駐車のみならずルールやマナーを守らないドライバーもまた急増していると思う。右折車線から交差点に入り右折をしないでUターンしている車には驚く。僕の運転ルールではUターンをすることやクラクションを鳴らすことを基本的に想定していないからだ。今朝見かけた親子はひどかった。野球場前の電停に高校生の子どもを降ろそうとした母親が突然Uターンをして道路のど真ん中に駐車したのである。そう言えば学習塾に子どもの送迎をしている車の中にもひどいドライバーがいる。交差点の中で駐車をして平気で子どもを待っているのである。近くの駐車場に停めて迎えにくることが何故できないのかと思う。どちらのケースも子どもの教育に熱心なあまりだとは思うが、受験勉強をする前に人間としてのマナーを学び、心を磨くべきじゃないのかと言ったら言い過ぎか。
 何れにしても、身勝手な人が増殖していることは間違いがないと思う。お先にどうぞと譲り合えば交通もスムーズにいくものだ。全体の利益を優先して考えることや他人を思いやることが大切なのであり、それが一つの教養というものだと思うのだが。



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