合言葉は「たべキリン」

森 雅志 2010.02.05


 富山市では現在、おいしいとやま食べきり運動を展開しています。 
この運動は、家庭、飲食店、事業所などで料理を食べ残さないという運動をすることにより、「食べきる」という意識を生活の中に浸透させ、生き方、暮らし方を変えていこうとするものです。
 なぜ「食べきる」という意識が重要なのでしょうか。それはわが国の食料問題について考え、行動するという意味を持つからです。
 わが国の食料問題は日に日に深刻度を増しています。現在の食料自給率は約40パーセント。大量の輸入食料に頼らなければ台所がまかなえない現状です。しかし、その一方で年間約1,900万トンもの食品廃棄物を出しています。残飯の廃棄量は世界トップクラスなのです。こんな飽食天国の日本に対して、世界では約6秒に1人の子供が飢えを原因として命を落としています。10億人近くの人々が飢餓に苦しんでいます。その事実を前にしたとき、われわれの食生活のあり方を変えるべきだ、生き方を見直すべきだという思いになるのは当然のことだと思います。
 それでは、今、われわれに何ができるのでしょうか。少なくとも食べ残しや食材の残渣を減らし、食べ残さないことが当たり前だという意識の浸透を図ることはできるはずです。具体的には食材の適量購入、適量調理、リメイク料理などの取り組みをすることが大切になってきます。
 さらには、レストランなどで食べ残したものを家に持ち帰ることも有効でしょう。もちろん持ち帰るだけで問題が解決するわけではありませんが、食べ物の大切さや食料問題を考えるきっかけになると思います。
この持ち帰り運動をドギーバッグ運動と言います。欧米では多くのレストランでこのドギーバッグを常備して、食べきれなかった料理を自己責任において持ち帰ることが定着しています。わが国では衛生面の不安から持ち帰りに消極的な飲食店が多いのですが、少しずつ理解が広がり、他県では取り組みを始めたお店も増えてきました。考えてみれば、昔は宴会などの残り物を折り詰めに入れて持ち帰ることは当たり前でした。今でも、お寿司屋さんで、食べ残しではないものの、折り詰めを持ち帰ることは普通にされています。生ものでさえそうなのですから、火のとおった料理を自己責任において持ち帰ることは捨ててしまうよりも望ましいことでしょう。もとより一人ひとりの自己責任の問題ではありますが…。
また、提供する飲食店が小盛りサイズのメニューを作ることや、宴会において席を立たずにしっかり食べる時間を設定することなども有効でしょう。
 わが国では昔から、残さず食べることが調理した人への礼儀だとされてきました。その意味からも「食べきる」ことを意識していきたいと思います。
もっとも食べ過ぎて太ってしまうというのも困るし、僕のように「飲みきり」のほうが得意だという人も多いかも…。
それでもまあ、「たべキリン」の合言葉を口にして、できることから始めましょうか。



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