釜山の夜は更けて

森 雅志 2011.11.05


 10月7日から13日までの一週間、韓国の4都市を訪問してきた。観光客誘致のためのプロモーションをソウル市と釜山市にて行い。つぎに嶺南アルプスという山岳観光地を抱える蔚山市を訪ねた。この市からはテレビ局の取材チームや副市長が立山黒部アルペンルートの視察に訪れており、招待を受けての訪問であった。次に「2011光州都市環境協定サミット」においてシンポジウムで講演するため光州市を訪ねた。この会議は国連環境計画(UNEP)、光州市、サンフランシスコ市が共催者となった大規模なものであった。慌ただしい出張ではあったものの、それなりに役割を果たせたと思う。
今までもソウル市において観光客誘致プロモーションを続けてきている。富山市内に宿泊する外国人観光客の約32パーセントが韓国人であることを考えると韓国で誘客キャンペーンをすることは大切である。しかし従前はソウルだけで実施してきたことに加え、(東日本大震災の影響で結果的にはキャンセルとなってしまったものの)5月に予定されていた釜山−富山間チャーター便が大好評であったことなどを考えれば今回の釜山での誘客プロモーションは有意義なものであった。おかげさまで旅行エージェントへの訪問や観光説明会での感触は良く、富山に対する関心と期待の高さが感じられた。説明会に出席した釜山の旅行会社は40社にも上り、報道も活発になされていた。円高・ウォン安といった外部要因もあり、すぐに観光客が急増することにはならないものの、将来のためには息長く取り組みを続ける必要があると思う。
さて、今回の訪問を終えて強く印象に残ったエピソードを2件披露してみたい。
まずは釜山の夜の出来事であった。説明会や関係者を招いてのレセプションを終えたあと、随行の職員とともにホテル近くの屋台に繰り出した。そこで偶然に出会ったのが60才前後のご夫婦であり楽しく時間をともにした。驚いたことに2人は福島県に暮らしていて、震災の被災者であった。奥さんが韓国の人なのでしばらくは釜山にいるのだと話してくれた。やがて彼らは親しい友人が富山県出身者であり、しばしば富山自慢を聞かされていると話してくれた。富山は良いところなのでぜひ訪ねてみたいと言いながら、(本当にビックリしたのだが)なんと「仰ぎ見る立山連峰。朝空に輝くところ…」と、「富山県民の歌」を歌い始めたのであった。いくら親しい友人同士でも僕の周りには、例えば山口県民の歌を教えてくれる者はいない。あのご夫婦の友人である県人の郷土愛には脱帽せざるを得ない。何よりも「富山県民の歌」の威力はすごい。 あとはご想像の通り。夜の釜山の一隅にしばし歌声は続いたのであった。
次は光州市でのエピソード。国連の組織であるUNEPが絡む会議だけに公用語は英語と韓国語。同時通訳も英語、韓国語、スペイン語、中国語の4ヶ国語のみであった。専門用語が多くて苦労しながらの参加であった。シンポジウムでの発言については日本語がOKだったので何とかなったものの、英語力不足を痛感させられた。
もっとも協定書の調印に際しては日本語による協定書も作成すべきだと強く主張し、強引に用意してもらった。それが出来ないのなら調印せずに帰るとまで言ったのだが、当然の対応だったと思う。
(自らの英語力のなさを棚に上げての開き直りと言えなくもないがね…。)


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