明日に向かって

森 雅志 2012.06.05


 過日、高校時代の同級生に遭遇し話す機会があった。僕らはお互いに今年の誕生日で満60歳となる。普通に給与生活をしているとしたら今年度いっぱいで定年退職という年齢だ。そんなことから、どうしても話題は知り合いや家族の近況ということになる。天下国家の話題や世界経済の話ではなかったけれど楽しいひとときであった。
 その際、彼から次のように言われてはっとした。「50歳になった頃に、これからの10年がその先の人生のために大切なときだから色んなことに挑戦しなきゃ駄目だ!とお前に言われたよ。そうだなと思いながらも、結局のところ仕事だけで過ごしてきてしまった。もうすぐ定年を迎えるというときになっていろいろ考えさせられているよ。」と彼は言う。確かに僕は50歳になったときに生き方を見直していろいろなことに挑戦してみようと心に期した。そして毎年のように何かにチャレンジしてきた。そんな思いを彼に話したかどうかは憶えていないけれど、彼は僕の言葉を受け止めて、憶えていてくれたのだ。
 僕は彼が仕事でしばしばインドネシアに行っていることを思い出して「でもお前はインドネシア語ができるんじゃない?」と聞いてみた。急に顔を輝かせながら彼は言った。「そうだなぁ、そろそろ本格的にインドネシア語を勉強してみるか。介護の現場などにインドネシアから若い人が来てるし…。自分なりに役に立つことが見つかるかもしれないなあ。」と。彼にはまだまだ経営の現場で活躍してもらわなくてはならない。そんな忙しい生活の中でも、将来の日々が充実したものとなるように是非とも頑張ってほしいと思う。
 平均寿命が伸び続けている。僕らの世代は、ひょっとすると90歳くらいまで生きていくことになるかも知れない。そうだとするとこれからの人生はまだ30年あることになる。まだまだ働いて社会に貢献しなければならない。そのためにも絶えず新しいことに挑戦することが大切だとあらためて思う。50歳の誕生日に、60歳までの10年を挑戦の期間にしようと心に決めた。そして確かにいろいろなことにチャレンジしてきた。60歳を目前にした今、その思いをいっそう強くしている。人はいつでも学ぶことができる。何かを始めることができる。何歳になろうが始めることができる。その思いを実践することが大切なのだと思う。いつも「明日に向かって」という思いで生きていくことが活力になる。
 50歳になって以来いろいろと新しいことに取り組んできた。登山、イタリア語、バイク、アルトサックス、小型船舶、乗馬、ヨット、料理などである。そして僕の交友関係は広がり、充実した時間を持つことができている。大げさに言えば、僕の世界が広がってきたのだ。これからの人生に投資をしてきたとも言える。ある人から言われた次の言葉を忘れない。「人生が永遠に続くと思って学び、明日で命が絶えると思って行動しろ。」深い言葉だと思う。すべては明日に繋がる。 明日に向かって頑張りましょう。そう言えば「明日に向って撃て!」という名画があった。この映画のラストシーンは有名だけど、明日に向かって生きて、違う輝き方をしてほしかったというメッセージが込められている。悔いのない人生のために今を生きるということ。
 関係ないけど吉田拓郎の「明日に向って走れ」やサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」なんてのもあったっけ。


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