お熱いときは冷静に!

森 雅志 2014.07.05


 その事件は突然に起きた。(突然に発現する想定外の出来事を事件と言うのかもしれないから、突然の事件という表現は正しくないのかなあ…。)とにかく、わが家に文字通りの事件が起きたのである。6月1日の夕方、父が農作業から帰宅すると台所で母が倒れていたのであった。発見した時には少し吐しゃしていて、すでに意識がなかったという。もちろんすぐに救急車を呼び、病院に運んでもらった。病院での適切な処置のおかげで、すぐに意識を回復し元気を取り戻すことができた。
その時間帯に僕は「山王まつり」の人ごみの真っただ中で数人の職員と一緒にポリ袋を持ってゴミを集めていた。母親が救急車で搬送されていたにもかかわらず身動きできない状態だったのだ。心配しながら帰宅して確認すると、母の症状は熱中症らしいとのこと。他人事だとばかり思っていた熱中症が身近なところで発症、それも、よりによって86歳の母親が発症するなんて…。山王まつりの興奮がいっぺんに吹き飛んでしまう驚きであった。
幸いにも、その夜のうちに元気になった母は3日ほど入院していた後、帰宅することができた。聞いてみると、倒れていたことも救急車で搬送されたこともまったく記憶にないと言う。まあ、意識がなかったのだからそういうものなのかも知れない。帰宅した後は何事もなかったかのように普通に生活してくれている。大事にならなくてよかったと思う。
 さて、決して他人事ではないと知らされた熱中症について理解を深めておきたい。
 熱中症は、高温多湿な環境に長くいることで、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指すとされている。屋外だけでなく室内であっても発症し、また、運動をしている場合だけではなく、じっとしていた場合であっても発症するらしい。症状として、はめまい、立ちくらみという軽い症状から、手足のしびれやこむら返りなどに至り、さらには頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感などと深刻化していくらしい。重症になると意識消失(母の場合がこれである)、けいれん、高体温ということになる。場合によっては死亡することもあるというから簡単に考えてはいけないものなのだ。では予防のためにはどうすればいいのか。次の二つのことをやればいいとされている。一つが暑さを避けるということ。そしてもう一つがこまめに水分を補給するということ。だから、エアコンや扇風機を上手に使って涼しくなるように気を付けなきゃいけないし、外出時であれ、室内にいる場合であれ、のどの渇きを感じなくても水やお茶を飲むようにしなければならない。母のように高齢者の場合は汗をかきにくく、暑さを感じにくいという特徴があるので、自覚がないのに熱中症になるという危険性もある。暑い季節は誰であれ暑さ対策と水分補給を忘れてはならないということだ。
 元気になった母に後から聞いてみると、夕飯の準備ができたので、近くの畑で作業をしていた父の様子を見ようと散歩がてら歩いて出かけたらしい。そのうえで、軽トラックの助手席でしばらく待っていたのだという。父の作業が終わらないので、また一人で歩いて帰ってきたものの台所に入ったところで気を失ったという顛末であった。熱くなっていた軽トラックの中にいたことが良くなかったのだと思う。老夫婦の相手を思いやる気持ちは分かるとしても、今さら二人でドライブでもあるまいに。お熱いときほど冷静に!




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