遺伝子検査で分かること

森 雅志 2017.10.05


 僕は毎年富山市民病院で人間ドックを受けている。今年も2日間しっかりとチェックを受けた。脳のMRI、胸部CT、胃・腸の内視鏡、前立腺の検査などなど、とにかく毎年、頂頭部からつま先までこれでもかというくらいに受けている。マニアックと言えるくらいだ。
 この熱心な受診姿勢は、もちろん自分自身の健康管理を徹底して職務の遂行に支障が出ないようにするためなのだが、同時に富山市民病院の売り上げに少しでも寄与したいという思いからのものなのである。
 そして今回の検査では、富山市民病院が新しく導入したサインポストというメニューにも挑戦した。このサインポストとは、血液を使って遺伝子検査をし、生活習慣病と関連性の高い体質リスクを評価する検査である。つまりある人の血液を分析することで、その人がどういう病気にかかりやすい体質なのかを調べるということだ。人間の遺伝子の配列は99.9%がどの人も同じ配列なのだが、残りの0.1%が個人の違いを形成している。サインポスト遺伝子検査ではこの0.1%の違いを調べる作業を行う。結果として、検査を受けた人が例えば動脈硬化になりやすい体質だとか高血圧の特性があるとかということが分かり、食生活や暮らし方に反映させることで健康な身体を作ることを目指すことができる。
 思えば20年くらい前にヒトの遺伝子の配列が読み解けるようになりそうだという話を聞いたことがある。ヒトのゲノムを解読することができれば病気の予防や治療に大変な変化と効果を生むことの可能性があるのだと聞かされた。そして数年後についにその解読に成功したこと、しかしそのための費用として一人のゲノムを読むのに一兆円かかると聞かされて驚いた記憶がある。それが技術の進歩によって今や4万円台で遺伝子検査ができるようになったのである。考えてみれば凄い時代になったということだ。おかげで僕もこの検査を受けることができたのだから。
 リスク評価項目を並べると次のようになる。肥満、体内老化、動脈硬化、コレステロール、高血圧、高血糖、血栓、アレルギー、歯周病、骨粗しょう症、関節症、近視、喫煙、アルコールという具合。
 はたして僕の検査結果はどうだったのか?概ね良好な結果であり、親や祖先に感謝すべき遺伝子を有していることが分かった。結果報告書では一つひとつの項目ごとに評価が出されている。例えば僕の場合、リスクが低いものとしては高血圧、アレルギー、歯周病、骨粗しょう症などがあり、その他の項目もだいたいは平均的なリスク度であった。
 逆にリスクが高い領域として喫煙による影響があったが、この点は30年前に煙草をやめたので問題ないと思う。また体内老化というリスクもある。さらには間接症のリスクも高かった。しかしそれぞれのリスクに対してどういう対処をすれば病気の発症を防げるかというヒントも示されるので参考にしたい。
 そして注目すべき評価項目がアルコールに対する遺伝子体質であった。なんと「酒豪タイプ」という評価だったのである。自分ではそんなにお酒が強いとは思わないけれど、お酒を飲んでもあまり酔わないので摂取量が増える傾向にあるとの診断であった。そうか、お酒を毎日楽しんでいるのは遺伝子のなせることだったのか。僕の意志ではなく遺伝子に支配されているということだったのだ。それじゃ毎日飲みたくなる訳だ。(ヘヘヘ。)
 サインポスト遺伝子検査。ぜひ多くの人に受けて欲しいと思う。遺伝子検査だけに一度受ければそれで良い。その結果自分のリスク傾向が分かり、健康生活の道標を見つけられることになるのだから。





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