本日付の産経新聞に興味深いコラムがあった。最近は子供たちに与えられるおとぎばなしも平和愛好ふうに改竄されており、たとえば「カチカチ山」にしてもタヌキはおばあさんを殺してババア汁などにしないし、ウサギもタヌキの背中を焼いたり、泥舟に乗せて沈めたりしない。すべて話し合いで丸くおさまるように改められていると言うのだ。そんな馬鹿なとの思いから富山市立図書館に出向き、早速調べてきた。結論はコラムの記載とおりであった。 司書に協力してもらって全部で9種類のカチカチ山の絵本を見てきた。もちろん僕の記憶の中にあるストーリー、つまりお婆さんはタヌキに殺され食べられてしまい、タヌキは背中を焼かれたうえに泥船で水死するという内容のものもあるのだけれど、お婆さんは殺されずタヌキは改心して謝り、その後はみんな仲良く暮らしました、シャンシャン、というストーリーのものが数種類あったのだ。 おとぎばなしというものは勧善懲悪や人間の知恵を教え、荒野を1人で生きていけるような強い生への意志というものを植えつけたり、人間の残酷さや狡猾さを教えることで人間の本質を学ばせる一面があるものだと思う。しかるに非武装中立思想のような平和ボケした綿アメおとぎばなしばかりを子供に見せていて良いのだろうか。産経新聞のコラムは「日本の戦後教育は偽善から出発した。渋谷で下着を売るような少女たちの親はそういう偽善に育てられた世代である。」と結ばれている。まったくそのとおりだと思う。最近のおとぎばなしこそ偽善に満ちているのである。生煮えナマコのようなものばかりを子供に与えていてはいけないのだ。時代が確実にそれを要請している。社会の裏表をしっかり教えなくてはなるまい。
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