森のひとりごと

新しい朝がまた来た…♪

 8月5日に環水公園の親水広場で2019年度夏期巡回ラジオ体操・みんなの体操会が開催される。夏休み期間中に指導者やピアノの演奏者などが全国を巡回し、それぞれの地域の住民が会場で一斉にラジオ体操する様がNHKのラジオ放送で生中継されるあの企画である。10年以上前に早朝から参加した記憶があるので富山市で開催されるのは久しぶりということになる。できれば当日に多くの人に参加してほしいものだ。そんな思いもあって、この稿はラジオ体操について述べてみたいと思う。(10年以上前に「新しい朝が来た…♪」というラジオ体操の歌の歌いだしを引用したタイトルでエッセイを書いていたので、今回のタイトルを「新しい朝がまた来た…♪」として遊んでみました。)

 調べてみるとラジオ体操の起源は大正12年に逓信省の課長がアメリカ出張の際に知ったアメリカ版ラジオ体操を紹介したことに遡る。それを受けて文部省が昭和3年に「国民保健体操」の名前で発表。その後、天皇の御大典記念事業の一環として東京で放送が開始された。全国放送として定着したのは昭和9年以降であった。その後、終戦でいったんは中止となったものの、昭和26年に現在のラジオ体操第一が制定され、翌年に第二が制定された。そして昭和28年に夏期巡回ラジオ体操会が開始されている。

 ちなみに現在のラジオ体操の歌は昭和31年に藤浦洸作詞、藤山一郎作曲で作られている。子供の頃になじんだ歌は今も忘れていないし、そもそも何故か僕はこの歌が大好きなのだ。同じように「若い力」とか「富山県民の歌」とかも大好きなので死ぬまで忘れないのだろうなあ。

 閑話休題

 そして、全国の町内会や自治会で行われているラジオ体操の会は昭和5年に神田万世橋署の面高という巡査が「早起きラジオ体操会」を実施したことが起源とされている。僕は子供の頃から早起きだったのでこの行事が大好きだった。体操の後に列に並んでハンコを押してもらい得意げに帰宅していたものだ。

 ところでラジオ体操第三というものがあったことをラジオ体操の歴史を調べて初めて知った。動きが複雑で躍動的すぎたためラジオの音声でその動きを伝えることが難しく普及しなかったらしい。その後、平成11年には「みんなの体操」という座位の体操が作られている。不明にもこのことは良く知らなかったのだが、おそらくテレビ体操の時間に放送されている椅子に座って行う体操に違いない。

 さて、山行の楽しみの一つに朝のラジオ体操がある。早朝の山並みの景色を楽しみ、爽やかな空気を吸い込もうと散策している人たちがラジオ体操の開始を告げる音楽が流れてくると自然に並びはじめ、ラジオから流れる名調子にあわせて見知らぬ者同士で一斉に体操を始める。日頃あまり体操をしない人も含めて、老若男女を問わず、心が通じているかのように真面目に体操をする様子は感動的でさえある。一緒にやってみるとうろ覚えだった第二体操までやれるのが不思議である。

 ラジオ体操は日本人のほとんどが共有している一つの文化だと言っても良いと思う。日本人が世代を超えて共有している記憶なのである。僕は見知らぬ同士がラジオを前にして共有できるこの記憶を大切にすべきだと思う。

 この話をある人にしたら、富山駅の中で進行中の路面電車の南北接続工事の現場でも始業前にラジオ体操が行われていると教えてもらった。恐るべし!ラジオ体操。

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