森のひとりごと

何故に仕事は楽しいか?

 この稿が市広報に掲載されるのは2月初旬である。僕が任期満了退任する日が視野に入ってきた時期だ。そして市広報に書く機会は2月号と3月号との2回しかないという現実もある。もうすぐ退任するという時期に、あと2回しか書けないという時期に、いったいどんなエッセイを書くべきなのかと悩んでしまった。あと2回しかないのだから真面目にテーマを探さなくてはならないなと考え込んでしまった。最終回は就任時から退任時までを振り返りつつ、市民の皆さんに対する感謝の思いを綴れば良いとして、はたして今回は何をテーマに書けば良いのか…。悩んだ果てに思いついたのが、「仕事は楽しい」ということであった。辞めていく者が後輩や若者に残していく、言わば送る言葉としての仕事感を述べることで今月号のエッセイとしたい。

 ずいぶん前のことだが、「朝、仕事に出かける時に今日は嫌だなと思ったことは無い」と言ったら、「幸せな人ですね」と言われた記憶がある。そのとおり、幸せだと思う。いつも楽しく仕事をしてきた。若い頃に個人事務所を開業して以来、いつも楽しんで仕事をしてきた。県議会議員をしていた時もその仕事に没頭し、誰よりも真剣にかつ楽しく議員活動をしてきたと思う。そして19年間にわたる今の仕事も本当に毎日楽しく働くことができた。「今日は嫌な日だな」と思って家を出た朝は一度もないと思う。毎日毎日、仕事が楽しいと思って過ごしてきた。仕事が楽しいのだから楽しい人生を送ることができた。幸せな人生であったと思う。もちろんこれからもそんな人生を続けていきたいと思っている。

 はたして、どうしたら毎日の仕事を楽しいと感じ続けることができるのか。参考にしてもらえるかどうかは疑問だが、僕なりの仕事を楽しむヒントを紹介してみたい。

 まず、仕事に積極的に、前向きに取り組むことが大切だと思う。仕事から逃げれば仕事は苦役となるが、前向きに臨めば歓びとなる。極端に言えば仕事に愛情を持つこと。そして仕事以外にも夢中になれるものを持つこと。この二つを両立させることが前向きに生きるためには重要だと思う。

 次に、ピンチの時にもユーモアを忘れないこと。困難な時にも余裕をもって笑い飛ばすような太っ腹が求められるということだ。笑いは力だと思う。

 そして、愚痴や悪口を言わないこと。人は自らに愚痴を言ったり、他者に対して悪口や罵詈雑言を言いたい生き物である。しかしそんな後ろ向きの思考からは何も生まれてこないものだ。他者から罵詈雑言を浴びせられても、変わった人に出会えるから人生は面白いなあ、などと楽天的に受け止める。そう考えれば他人に対して悪口を言うことのバカバカしさに気付くはずだ。

 また、日常の些細な変化にも感動する感性を持っていることが大切。アンテナを高くして暮らしていると毎日は発見の連続である。心動かされる事柄に満ちている。些細なことにも心を躍らせることが楽しさにつながると思う。

 自分に似合う身なりをいつも求めていることも大切だと思う。お洒落ごころを持つということだ。お洒落は心を豊かにし、満足感を与えてくれる。今日は大勝負だという日には、お気に入りのシャツを着るとか取って置きの靴下を履くとかすることで心に余裕が生まれる。お洒落は最高の戦力だと思っている。

 人はある種の気分で生きている。ネガティブな気分で暮らすよりもポジティブな気分で暮らす方がいいに決まっている。仕事も遊びも気分に左右されるものだ。だったら強力ポジティブ気分で生きていこうじゃないか。仕事も遊びも楽しんでいこうじゃないか。

 真面目に言います。楽しむことが一番。

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