雑学 トイレ考
今日は7月14日。おー、今日はパリ祭か!などと思っているところに秘書課長からメールが届いた。曰く、「広報のほっと・エッセイの原稿の締め切りは明日です」と。メールを見た瞬間に、頭の中が大混乱状態になった。締め切りまでにもう少し日があるものと勝手に考えていたので、何の準備もアイデアも無く、うろたえてしまった。仕方がないので、また雑学シリーズでお茶を濁すこととしたい。ご寛恕いただきたい。
ずいぶん前のことだが、トイレの呼び方はなぜこんなに多いのかと気になり調べてみたことがある。(清水義範さんの「日本語必笑講座」では楽しく学ばせてもらった。)
理由はもちろん便所とストレートに表現するより婉曲に表現した方がふさわしい状況が多くあるからであろう。そのため「お手洗い」と言ったり「洗面所」と言ったりするのだ。手や顔を洗いたくてそこに行くのではなく、用を足したいのだけれども、ストレートに言うことが恥ずかしいので、そういう表現が多用される。清水さんの著書によれば、そもそもトイレという言葉も同じ成り立ちなのだそうだ。英語でトイレット、フランス語でトワレというのは、洗面とか洗顔という意味であるらしい。また、WCというのはwater closetの略で、水洗便所のことだが、ストレートな表現をしないで、水の小部屋と言っているのだそうだ。ズバリ言うのを避けたいという心理は外国でも同じということだ。
柔らかく表現しようとするために、トイレを表す言葉のなんと多いことか。「厠」「雪隠」「ご不浄」「手水」などの言い方が古くからあり、今、日常的に使われているものとしては「洗面所」「手洗い」「化粧室」「レストルーム」などがある。
ところがみんなが例えば「手洗い」を使っていくと、やがてこの言葉が便所を表しているという認識が共有されることとなる。そこでまた新しい表現を見つけたくなるという次第で、結果として便所を表す言葉が増産されるらしい。
昔の表現で面白いものを知った。「閑所」(かんじょ、または、かんぜ)というもので、そこが寂しい場所だからであろう。確かに集団で利用する場所ではないからね(もっとも連れションと言う言葉があるけどね)。50歳で登山を始めた時に、登山では用を足すために登山道を外れるときには「キジを撃ちに行く」と言い、女性の場合は「花を摘みに行く」と言うと教わった。なんともお洒落な言い回しじゃないか。言い換えることを楽しんでいるようでもある。
ところで富山市では現在、市立小・中学校の和式トイレと公園内の和式トイレの洋式化に取り組んでいる。まずは学校の方だが、すでに洋式化の済んでいる学校を除いた小学校62校と中学校23校の計85校について改修事業が進んでいる。中には地元から和式のものを残してほしいという要望が出たケースもあるので、それを控除した残りのすべてを洋式化する。全部で1,584台の改修であり、令和3年3月までに終了する予定だ。次に公園のトイレだが、その大半は設置してから30年以上経過したものであり、大半は和式便所で整備されてきた。そこでこちらも思い切って改修することとした。全部で82公園、229台の便器について令和3年7月までに洋式化を終えることにしている。生活様式の変化に伴い和式便器の使えない子どもや、足腰の弱い高齢者、さらには外国人の定住者や観光客の増加など、学校や公園の利用にも変化がみられる。その変化に一日も早く対応するために、確実に整備を進めたいと思っている。乞うご期待というところです。
(参照・引用:清水義範著「日本語必笑講座」)