2021年5月4日
今日の午後、新しく購入した防除機の試運転をした。400ℓの容量のタンクを持つ自走式の防除機だ。呉羽の梨生産者はおそらくすべての人が乗用の防除機を使っているのだと思うのだが、(ちなみに一昨年まで一人で農作業をしていた父も乗用のスピードスプレヤーを使用していた。)もうすぐ69歳になろうとする僕が初めて取り組む防除作業に乗用式は事故を起こすリスクが高いと判断して、敢えて誰も使っていない自走式のものにしたのだ。
強い風圧で消毒薬を噴霧する後方から歩いて操作するのだから、薬を浴びることは避けられないのて゛フル・フェイスのヘルメットと空気清浄機もセットで着用する。そういう方式の防除機の試運転をしたという次第。
最初は、梨畑の中をどういうルートで移動するのが最適なのかを探るために、何度か圃場内を走行する。次に、水を噴霧しながら、自走の速度と噴霧の圧力を試す。走行の安全を意識しすぎて速度が遅いと途中で水が切れてしまう。一本一本の樹の葉っぱの先まで薬がきちんと届くようにと意識しすぎて風圧を強くしすぎると、これもまた途中で水が足りなくなってしまう。経験が無いのだから、試運転を繰り返して最適条件を探るしかない。何度か試した末に、自分なりの結論を見つけることができた。一週間後には、薬の希釈率を誤らないように注意しながら初めての本格防除に挑戦だ。父が作業をできなくなってから今日までの一年間余は近所の人や親せきに防除作業をお願いしてきたのだが、果樹手伝い(見習い)の身分でありながら、いよいよ本格的に防除作業のデビューをするのだ。ワクワクする興奮を抑えきれない。
夕方、4時に早い入浴をすませ、さわやかな風のそよぐ中、自分で剪定をした富有柿の木の下に置いたデッキチェアーに座ってビールを楽しむ。はるか遠くに後ろ立山連峰の白馬が見える。柿の木は瑞々しい若葉と生まれたばかりの花の赤ちゃんを自慢げに揺らしている。そして僕は試運転の成果に満足、満足。最高の瞬間に一人で乾杯をする。こういう瞬間を楽しみながら僕のこれからの四半世紀は始まっていくのだな。充実感につつまれた最高の1日であった。美味しいビールが何より。こういう日々を重ねていきたいものだ。