森のひとりごと

2024年9月6日

2024.09.06

久しぶりの書き込みである。梨の収穫に追われてこの一ケ月を忙しく過ごした。一年間、さまざまな作業を続けながら育ててきた幸水種の収穫が昨日で最終日を迎えた。秋の施肥や剪定作業、年末ぎりぎりまで続けた落葉の処理、雪の中でも剪定と枝の誘引作業をしてきた。剪定枝を焼却処理ばかりにせず、チップ化して畑に撒く取り組みにも初挑戦した。春の開花が遅く花粉採取に戸惑いもした。新しい消毒作業車スピードスプレヤーを導入した効果は大きく、高温の日でも快適に防除作業を続けられた。摘果作業の時期に講演などの出張が続き遅れ遅れの工程となり7月末まで悩みながらの摘果であった。8月に入っても実の色づきが遅くまたなかなか大きくならずヤキモキさせられたっけ。少しピークの時期に遅延はあったものの最終的には良い梨が取れた。また、多くの人からその味見について褒めてもらい充実感に満たされる年でもあった。良い栽培年だったのだろう。その幸水の収穫のカイモギ(畑の実をすべて取り切ること)を昨日終えた次第。今日からカラス対策で取り付けてあるネットの除却作業に入った。除草を終えたら早速にお礼肥を撒く作業が待っている。こうやって来年の収穫に向けた一年が始まるのだ。まだまだ4年生。頑張るしかない。
 さて、3週間ほど前にある人が日本梨の品種改良の系統図を持ってきてくれた。これを見ると幸水も既にベテランの位置にあることが分かる。新しい品種が沢山作られているのだ。しかし僕の関心は古い時代の品種に集中させられた。子供の頃にわが家でも栽培していたたくさんの品種名に触れ様々な記憶がよみがえってきた。あらためて両親や祖父母の苦労を思わされた。今はもう見ることも聞くことも無くなった品種の味がよみがえってきて懐かしさにつつまれもした。長十郎、二十世紀、新世紀、今村秋、晩三吉、君塚、菊水、石井、子供の頃に食べていたが今は口にすることのできない品種たちである。中でも晩三吉と菊水はできることならすぐにも食べてみたい懐かしい味である。どこかにないかなあ。
 ところで、今朝驚くべき出来事が起きた。去年からカラス対策一環として(効果があるとは思わないけれどね)鷹のカイトを畑の隅に2体設置してきた。今年も昨日まで風に身を任せて気持ち良く空を泳いでいた。この姿を見るだけで爽やかな気持ちにさせられる。そのカイト2体が今朝、姿を消していたのだ。急いで探してみると設置個所の近くに横たわっていた。収穫を終えたタイミングを見計らったように釣り糸が切れてしまったようである。もう今年の役目は終えたからね!!とでも言うかのように。ひょっとして意志あるカイトなのだろうか。まさかねえ。面白い偶然話である。面白がってるのは僕だけかもしれないけれど…。

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