森のひとりごと

2025年2月5日

2025.02.05

 岩手県盛岡市での講演のために出張してきた。講演は2月1日だったのだが一日早く岩手県に入り、遠野と花巻に行ってきた。せっかく寒風の中を遠野博物館まで行ったのに改修のため1月31日まで閉館というとんでもない不運にもあったが、柳田國男の「遠野物語」の世界に思いをはせた。花巻では宮沢賢治の足跡を少しばかり辿ることとなった。めがね橋近くでは「銀河鉄道の夜」の展示に触れた。「宮沢賢治記念館」ではゆっくり時間を取って賢治の生涯の足跡を学ぶこととなった。冒頭の写真はそこで目にした賢治が農作業をする際に自宅の黒板に書いていたというものである。人柄がしのばれる。僕も畑で作業をしているときに表の玄関に「ウラノ畑ニ居リマス マサシ」などと書いておこうかと思わされた。どう頑張っても賢治の味は出せないけどね…。「新渡戸稲造(の父祖の地)記念館」という変わった施設にも行った。新渡戸稲造は盛岡出身と思っていたので違和感があったものの、いわば本籍地にある記念館だと思えばいいか。あらためて偉人のすごさに触れ、圧倒された。彼が国際連盟事務次長だった時代にフィンランドとスウェーデンとの間でもめていた領土問題を素晴らしいさばきで解決したエピソードを知ってはいたが、領土問題の舞台の島を何故かフォートランド諸島と記憶していたが正しくはオーランド諸島であったことが分かって恥じ入る次第であった。間違った記憶なのに何度か得意げに口にしていたので小さくなるしかなかった。偉人と違って中途半端爺さんの所業はいつもこんなところである。いやはや。

 昨日はわが家の歳時記とも言うべき玄関の飾り物を取り換えた。毎年この時期に登場する男雛・女雛の木目込み人形を寒さの中ではあったが飾った。人形の穏やかなお顔に心が和んだ。大雪の日ではあるけれど…、春よ来い。早く来い。

週刊ブログ関連記事

週刊ブログ

エッセイ