2025年9月24日
石破総理が国連本部で行われる国際会議に出席し国連改革を訴えるというニュースに触れて、昔、国連本部を訪れる機会を得て、総会が行われる大きなホールに入った際のエピソードを思い出した。(この時の詳しい内容は2014年9月28日付のブログを参照されたい。)
この時は2日間にわたって行われたSE4ALLという会議に出席したのだが、日本語の同時通訳が無いので苦労した。総会の会場に一人だけ入れるが傍聴をしてみてはどうかと外務省の人から誘われて会場の隅の席に着席した。ところがレシーバーを耳につけて装置のダイヤルを動かして日本語の同時通訳を探してみたが見つからない。どう探しても見つからないので隣の席にいた白人の女性に助けてほしいとお願いをした。するとその女性は(フランス人だったが。)ニコッと笑いながら、しかし自信に満ちた表情で次のように述べた。「この会場には日本語の同時通訳機能は無いのだ。だってここはThe United Nationsなのだから。」と。『国連のベースは第二次世界大戦の戦勝国なのだから、敗戦国である日本の扱いは低く、日本語の同時通訳機能がないのは当然である。』という意味であった。ああああああ!そうだったと気付かされたが、しかし分担金はオタクの国より遙かに多く払っているのだぞ!と胸中では思っていた。(ちなみに日本はアメリカ、中国に次いで3番目に多く払っている。フランスは6番目で日本の半分強なのだ。)日本国は国連での会議に臨むときは自国の負担で同時通訳者を置いているのであり、僕がいた会場ではその時に日本語話者の発言が予定されていなかったので日本語同時通訳のサービスを受けられなかったという次第。そもそも日本は1952年に国連加盟補申請したもののソ連によって否決され、1956年の日ソの国交正常化を経てその年の12月に初めて承認されたという経緯がある。彼女の言葉の裏には「お前たちを加入させてやったのだ。」という意味も含まれていたのかも知れない。あまり言われることがないが、これが現実である。
国連のオフィシャル言語は英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語、そしてアラビア語の6か国語だけなのだ。アラビア語圏の国々は戦勝国と言う訳ではないけれど、多額の負担金を払って追加されたのかも知れないなあ。いずれにしても日本語と同じようにドイツ語も認められていないのである。石破総理には国連における敗戦国条項の撤廃も訴えて欲しいものだと思う。もっともそのことを訴えるだけの英語力が石破総理にあるのかどうかは分からない…。あっ!日本国政府が雇った同時通訳者が英語にしてくれるから大丈夫か! 何となくスッキリしないけど…。