森のひとりごと

2023年2月25日

2023.02.25

 一月に入院した際に何冊もの本を読んだ。その中の一冊に「孤独の俳句 『山頭火と放哉』名句110選」(小学館新書)がある。山頭火の句の選句と句評は亡き金子兜太氏であり、放哉の句の選句と句評は芥川賞作家の又吉直樹氏によるものである。この本のお陰で種田山頭火と尾崎放哉の二人の俳人の放浪軌跡を詳しく知ることができた。放浪詩人の生き様、孤独感、寂寥感、自然観察眼などに触れて自分自身を見つめなおす機会になった。良い時間を持つことができたのだ。強い刺激を受けたことから、岩波文庫の「山頭火俳句集」(全句から一千句が精選されている)とちくま文庫の「尾崎放哉全句集」を買った。二月はこの二冊の文庫本を手にしてはチビチビとアルコールを飲むという夜の過ごし方だった。自由律俳句という研ぎ澄まされた詩に圧倒される。死を意識しながらの孤独感に感動させられる。僕自身の体内に放浪志向という感覚はまったく無いのだけれども、時どきに放浪詩人の生きざまに触れたくなるのが不思議である。書架を探ってみると、ずいぶん前に読んだ放浪詩人関連の本が見つかった。角川学芸出版「漂泊の俳人 井上井月」がその一つ。そして俳人ではなく歌人である山崎方大に関する角川書店「無用の達人 山崎方大」、文芸春秋「山崎方大歌集 こんなもんじゃ」の二冊である。ひょっとすると三月はこの三冊の再読ということになりかねないかも知れません。まあいいか。

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