森のひとりごと

2024年7月11日

2024.07.11

 もう7月に入った。数日前に最終摘果作業を終えたのでしばらくは落ち着いて周辺の準備作業などをしている。昨日からはカラス対策のためのヒトデの粉末を小袋に分ける作業をしている。昨年初めて畑の中にこの小袋を数多く設置するということをやった。心なしかカラス被害が少なかったと思うので、今年は「ヒトデのおかげ」という商品を30キロも購入し50グラムずつ小袋に入れ、これを600個も畑内に吊り下げようという魂胆だ。経費倒れも甚だしいが良しとしよう。

 さて、過日ある量販店で、記憶にはない高齢(?)のカップルから「あっ、森さんだ!」と声をかけられた。「すみません。せっかく声をかけていただいたけれどどなたでしたっけ?」と答えると、女性の方が近づいてきて耳元で小さな声で「旧姓○○○○です。」と言ってくれた。その名前には記憶があったので「ああ、これは失礼しました」などとごまかしていたが、記憶は時間経過とは比例しないと思わされた。内心では妙齢の奇麗な人だなと思っていたのでジロジロ見ていなくて良かった。でも、「分からないのぉ、私よ!」などと言われるよりもお洒落な対応でルンルンとした気分になった。
 同じことは続くもので、時どき利用している街なかのクリーニング店で「雅志ちゃん、アケミです」と話しかけられて驚いてしまった。僕は若い頃から女性がカウンター越しに接遇してくれたり、隣に座ったりしてくれるような店を不得手にしていたので、源氏名で呼びかけられてもなあと思っていると、「土田明美です」と名乗ってくれて、かつての自宅の隣家のお嬢さんであることが分かった。確か2歳下の女性だったと思うがこちらが18才くらいから見かけたことも無かったので分かるはずもなかった。
 また、富山駅のみどりの窓口で並んでいて「こんにちは、ヨウコです」と話しかけられたこともあった。説明を聞くとこちらは斜め向かいの家のお嬢さんであった。こちらも18歳くらいからの記憶がない。おそらくお嬢さんたちからすると、時間の経過にあわせて時代ごとの僕の風貌に馴染みがあるので僕だと認識できるのであろう。もっとも詳しく自己紹介してもらえば一瞬にして50年以上前の記憶がよみがえるのだけどね。どの人も穏やかな人生を紡いできたに違いないと思わされた。良い機会であった。

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