森のひとりごと

2024年7月23年

2024.07.23

 (ある方が主宰されているエッセイ同人誌にどうしても寄稿して欲しいと依頼され、やっつけ仕事で書いた駄文です。同人誌会員以外の人から読んでみたいという要望が何件か届いたので恥を忍んで披露します。)

  真夏の夜の夢

    
 「真夏の夜の夢」。ご存じのとおりシェイクスピアの喜劇のタイトル。(夏の夜の夢とされることの方が多いか。) そしてもう一つ、何といってもユーミンの「真夏の夜の夢」である。僕はシェイクスピアの方は読んだことがないけれど、ユーミンの方はスマホのライブラリーにも入っていて何度も聞いてきた曲である。メロディーも歌詞も耳になじんでいるが、今日は特に「私、遠い夢は待てなかった。」のフレーズに注目してみたい。
 前置きが長くなったが、北陸新幹線の新大阪までの延伸について無責任な個人的意見を勝手に述べることとしたい。もう僕らは「遠い夢」は待てないからである。
 6月に開かれた北陸新幹線の与党整備委員会は改めて2016年に決定した「小浜・京都ルート」を堅持し、2025年の着工を目指す方針を確認した。そして一部から出ている米原ルートの再検討について明確に否定した。
 僕も小浜・京都ルートを否定するものではない。小浜という地域の素晴らしさや歴史的価値についてのいささかの知識も持ち合わせている。(もっとも某大統領の時代に小浜市がはしゃいでいたのは滑稽ではあったが)そして小浜から京都に至ることの意義についても共感するものである。しかしながら、小浜・京都ルートは見ようによっては無理筋に見えてくる。「遠い夢」に見えてくるのだ。箇条書き的に問題点を述べてみたい。京都駅に直結するとしたら、八条通か西洞院通を使うことになろう。市街地を通過する超難工事になると思われる。仮に地下を使うにしても大深度地下にならざるを得ない。一部に東海道線桂川駅に新京都駅を作るという案もあるらしいが、僕らは京都駅に行きたいのであって新駅など論外である。さらに言えば、最速で15年で完成させても2040年になる。国のリニア大阪開業の目標は2037年なのでリニアの方が早いということになる。
 もう一度言うが、僕は「小浜・京都ルート」の支持者である。同時に「遠い夢は」待てない立場でもある。そこで本稿を借りて次の案を提案したい。
 小浜・京都ルートの作業を進めつつも、暫定的に敦賀・米原間に北陸新幹線を走らせてほしいという案である。整備新幹線の着工に当たっては整備新幹線問題検討会議決定の「着工5条件」があることを承知の上で敦賀・米原間にミニ新幹線を走らせてはどうかという案である。(この5条件のことを言うなら、「小浜・京都ルート」であっても京都や大阪が地元負担に同意するかどうかは不明であり、条件を満たせないのではと思う。)
ミニ新幹線の最大の利点は、事業費の安さと工期の短さにある。既存の北陸本線を使いながらミニ新幹線でしのいで「小浜・京都ルート」による新大阪延伸を待つということである。僕らは敢えて米原で乗り換えるのだ。工事費も敢えて石川県民と富山県民が超・長期借り入れで賄うのだ。調所笑左衛門の250年分割払いの例(?)もある。
 「遠い夢を待てない」僕の勝手な夢物語である。
 6月に豊橋市に行った際に面白い標語調のキャッチを聞いて笑ってしまった。それは「のぞみは無いけどひかりはある」というもの。(一部のひかりは豊橋に停車するらしい。) さすれば、我が私案を例えるなら「かがやきはひかりにつながる」ということか。下りの場合は「ひかりかがやく」というキャッチになるじゃないか。いいぞ、いいぞ。

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