2024年10月2日
1年振りに薬師岳に行ってきた。去年は太郎平小屋までたどり着いたところでスウェーデン出身のベアンテ・ボーマンさんという人と出会い、この人と意気投合し生ビールを飲み続けてしまい、頂上を目指すどころかそのまま小屋に宿泊し翌日に下山するという体たらくであった。このボーマンさんという人は30年近くの長きにわたり東京交響楽団の首席チェロ奏者を続けていらした本物の音楽家であり、パブロ・カザルスの「鳥の歌」などについて詳しく背景などを教えていただいた。僕にとっては山での大きな出会いとなった。このような出会いを得ることが山行の魅力の一つだと思っている。
さて、今年こそは山頂を目指すこととし、余裕ある行程として同小屋に二泊した。お蔭で山頂の新しい祠にたどり着くことができ三体の仏像に手を合わせてきた。これも出会いの一つではあるけれど、今回の山行ではもう一つの驚くような出会いを得た。
僕のブログの過去のエッセイの、2017年9月5日付のものに詳しいのだけれども、(ブログ森のひとりごとの、「バックナンバーはこちらから」をクリックして検索してください。)
https://heisei.morimasashi.jp/essay/?Page=20170905
当時小屋主の五十嶋さんから紹介された、京都に住んでいた中学三年生と小学六年生の姉妹の二人だけの薬師山系山行の、それもテント場を利用しての冒険譚と山を愛する心に驚きかつ感動させられたことがあった。今回の驚くような出会いとはこの当時中学三年生だった少女が7年の時を経て大学4年生となり、この夏の三か月、同小屋で働いていたということだ。以前に感動させられた山行の申し子のような少女がまぶしい姿で目の前に出現したのだから驚くことこの上はない。高校時代は毎年短期のアルバイトで小屋に来ていて、大学に入ってからは少しずつ長期化して続けていたという。僕が当時書いたエッセイを読んだと言ってくれたことが嬉しかった。
これからも山での出会いを期待しながらも、歳を重ねたことと体力や集中力が落ちていることも考慮してゆっくりとした山行を続けていきたいと思っている。