2025年8月17日

昨日、16日の17:30からのBSNHKの番組、「街角ピアノ スペシャル」特別編「角野隼人ポーランドを行く」は非常に良い番組だった。途中のエピソードで感動のあまり涙を禁じえなかった。録画していたのでツレアイと一緒にもう一度見たが、同じ場面でもう一度涙していた。角野隼斗というピアニストについては以前にもブログで紹介したことがあるが、高校生の時に東大に進むか東京芸大に進むかについて迷い、東大に行ってもピアノはできるけど芸大に行ったら数学はできないと気付き東大工学部に進学したという天才である。大学院(情報理工学系)修了時にはフランスの研究機関から誘われたもののショパンコンクールへの挑戦をあきらめきれずピアニストの道を選んだという異色の経歴の持ち主である。今、最もチケットの取れないピアニストと言われている。その彼がショパンの故郷ポーランドを訪ねるという企画である。その中のエピソードの一つとして、ウクライナからポーランドに避難してきている人たちを訪ね、彼らの求めに応じてその場にあったピアノであの名曲「WE ARE THE WORLD」を演奏した。ところが途中からウクライナ国歌「ウクライナは滅びず」に演奏が変わっていて、そのことに気付いたウクライナの人たち全員が起立して斉唱を始めたのだった。中には涙ぐむ人たちもいる。そしてまた「WE ARE THE WORLD」に続いていき、みんなの心を一つにして演奏を終えた。戦争反対とも反戦とも停戦を求めるとも言わず、絶妙の選曲と演奏でウクライナの人たちの心をつかみ、僕らに感動の涙を流させたのである。また、映画「戦場のピアニスト」のモデルとなったポーランドのユダヤ人ピアニスト「シュピルマン」の足跡をたどるエピソードもある。この「戦場のピアニスト」は素晴らしい映画で、僕はわが家にあるDVDを何度も見ている。シュピルマンがドイツに占領されたポーランドのゲットーを脱出し屋根裏に隠れ住みながら、食うや食わずで一人で生き延び、ドイツ兵に発見されるも音楽を愛するドイツ軍将校の配慮もあって何とか生きて終戦を迎えた実話が下敷きになっている映画だ。胸を揺さぶられる感動の物語である。角野隼斗がシュピルマンの足跡をたどって心に刻んだものは大きかったに違いない。芸術はこうやって継がれていくのだなあ。
来月、9月12日、角野隼斗がポーランド国立放送交響楽団と一緒にオーバードホールにやって来る。そしてショパンのピアノ協奏曲が演じられる。何があっても会場に行かなくちゃ!!
(冒頭の写真は何度も見てきたわが家のDVDです。)