森のひとりごと

2024年11月21日

2024.11.21

(今日は久しぶりにヨタ話を一題)

「おぉ、ハチ公!久しぶりじゃねぇか。」
「おお、クマさん!元気かい。何か景気のいい話はないもんかねぇ。」
「いやあそのとおり。世の中、おかしな話ばかりだからねぇ…。言っちゃなんだが、前の(さきの)お殿さまの阿部様が闇討ちで亡くなられてからお侍の世界も大変なんだねえ。阿部様に連なってた連中のまつりごと運用金の裏金問題がまだまだ引きずってるんだろ?」
「わしらのお代官様の田沼様もおかしなことを言ってるようだしなぁ。なんか大茶会の参加者を募った際に茶席には着かないんだけれど席料だけを貰ってたってことが問題になってるらしいんだけど…。」
「ありゃぁ問題だよねぇ。まつりごとに関わる者は大店や社中から寄進金を受け取っちゃいけねえのにもかかわらず、茶会には行かないことを分かっていながら席料を受け取るってのは寄付を受けたことに違えねえじゃないかい。まつりごと運用金御定めの寄付の禁止令に触れてるだろう。」
「いや、まったくだよねぇ。それよりもさあ、お上が藩勢を伸ばそうといろいろと勧進をやってる中で各お代官に千名の賛同者を求めてた話は面白いよね。とりわけワシらのお代官である田沼様が賛同をしていない人の名前を連ねて奉願帳をつくり藩に出していたそうじゃねぇか。」
「いやいや、それどころか世の中にはいない架空の人の名前もあったそうじゃないかい。ヒドイ話だよねぇ。」
「そのうえその人たちの賛同金をまつりごと運用金から出していたんだろ。そりゃどう考えても運用金御定めに触れるよねえ。」
「おいらはそれよりもね。実際とは違う奉願帳をつくったという沙汰は、同意もなく他人の賛同書を作ったということで、文書の偽作に当たるから武家諸法度や公事御定めに触れると思うんだ。文書偽作(もんじょげさく)の科(とが)はお縄につかなきゃいけない話だろうよ。」
「そのことについちゃ、田沼さまは『関与していない。』とまるで勝海舟様のお言葉『我これに関せず、与もせず。』みたいなことをおっしゃってるらしいね。」
「いくら何でもそりゃヒドイだろ。お代官ともあろう方は配下やお家の沙汰には全責任がついてくるもんだろうよ。それどころか実行者をそそのかしたり、やり易いようにしてやったってこともあるかも知れねぇ。それなのに「関与せず」ったあどういう了見だろうねえ。自分で口にした、ことの仔細が世間に広がってるっていうのになあ。」
「それについちゃ、後ろ盾でいらっしゃる高神さまのお言葉が素晴らしいねぇ。『ウソなり、疑われるような言葉ではなく、本心、自分をさらけ出すことが必要では?』とね。グサッとくる言葉だよねえ…。田沼さまはどう受け止めているのやら?」
「千名の賛同者が嘘っぱちということにならあ、お上のなさる勧進にも関わってくるだろうよ。他のお代官が集めた奉願帳も大丈夫なのかいってことになりかねない。」
「なんにしても瓦版屋に頑張って欲しいもんだなあ。いくらお代官様のこととは言え、しっかりと役目を果たして欲しいってことよ。頑張れっ!と言っておこうじゃねえか。」
「まったくだ。頑張れ!!瓦版屋!!おっといけねえ。カカアが待ってやがるんでケエルぜ。またな!」
「おうよ、何か聞いたらまた教えてくれな。じゃあな。」

(こんな話を作ってみました。だからどうだと言う訳じゃないけれど…。たまには良しとしておくか。)

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