森のひとりごと

2025年6月3日

2025.06.03

 東京に出張する際(基本的には日帰り)、新幹線の往復所要時間(約4時間)でハードカバーの小説一冊を読むことが多い。分厚い本だと時間が足りなくなるので斜め読みをすることもしばしばだが、何とか往復で読み切ることとしている。逆に長距離移動だと一冊では足りなくなることとなり、昨年の12月に熊本日帰り出張をした際には三冊を持参したくらいだ。
 先月の後半に東京往復した時は新聞の書評で見つけた沢木耕太郎さんの「天路の旅人」を持参した。さすがに550ページを超える長編ともなると読み切ることができず翌日に持ち越すこととなった。この小説は戦中戦後の時期に8年間もの長きにわたり西域を歩き回った西川一三という人の足跡をドキュメント風にたどるという中身なのだけれども、読みだしてすぐに既読感?にとらわれ、やがて他の人が書いたこの人の冒険譚を読んだことがあると確信した。そう思いながらもなんとか読み切った後、この本の末尾の参考資料の欄に並んでいる既発行の本がわが家にあるはずだと書架を一通り探したがそれらしいものが見つからずすっきりしない気持ちを引きずっていた。ところが数日後にツレアイが謎解きをしてくれた。なんと書斎の簡単に見つけられそうな場所に同じ本があることを発見したのであった。前に読んだことがある本を買ってしまったということは何度かあるけれど、そういう時はさすがに途中で自ら気付き最後まで再読してしまうということはないにもかかわらず、今回は大作を読み切っていた。同じ題材を他の人が書いたと思い込んでいたが、まさかまた同じ本を買うという失敗をしていたなんてね。冒頭の写真がその二冊である。もともと家にあったものは2022年10月25日発行の初版本であった(末尾の写真)。2年半前に読んでいた本をまた読むとはねえ…。老化が進んでいるということか。まあ2度読んでもいいやと思わされる内容ではあるけれどね。作中に何度か出てくるポタラ宮の描写に刺激され、毒食わば皿までの例えもあると思い、ブラッド・ピットの映画「セブンイヤーズ イン チベット」を楽しんだ。まあいいか。

週刊ブログ関連記事

週刊ブログ

エッセイ