森のひとりごと

2023年5月28日

2023.05.28

 今更言うことでもないけれど、「旅の恥はかき捨て」という言葉がある。知らない地である旅先での所業は多少ハメを外してもいいよね、というニュアンスかな。
この歳になって「老いの恥もかき捨て」ということに気が付いた。一定の歳になれば、若い頃には恥ずかしくて口にできなかったような所業や性癖を明らかにしたところで大目に見てもらえるだろうと思うからである。そこで今回は僕の「老いの恥もかき捨て」話第一弾を披露してみたい。
 二か月くらい前に口を開けようとすると顎が痛いという症状が現れ、開け閉めすると音がするという事態に陥った。行きつけの歯科医で診てもらうと「顎関節症」と診断され、自分の歯型にあわせて作られたマウスピースをはめて眠るように指示された。そして「眠る前に良く歯を磨いてから装着すること」という指摘もあった。僕はここで大いに困惑してしまった。なぜなら、この歳になるまで眠る前に歯を磨くという作業をほとんどしないで生きてきたからである。毎晩、夕食をお酒と一緒に楽しみ、その後も眠るまでワインや焼酎をチビチビと飲むというスタイルで過ごしてきた。眠る前に歯を磨くことが有用であることは当然にして知識としては知っていたのだが、気持ちよく酔っている状態に水を差すような歯磨きはしたくないとずーっと否定してきたのである。もちろん朝目覚めたら歯を磨く、朝食後にも磨く、そして昼食後にも磨くのだからちゃんと一日に三回磨いているので問題ないでしょ、とうそぶいてきたのであった。そんな僕であったが、連れ合いの温かい次の提案で妥協点を見出し、ついに夕食後にも歯を磨くようになったのである。その提案とは「夕食後に歯磨きをした後は眠るまで何も食べないこととし、アルコールを飲むことは良しとして、眠る直前にマウスピースを装着する」というもの。そのおかげもあってか、知らないうちに顎関節症の症状は消えてしまった。夕食後に歯磨きすることはさっぱりして気持ちが良いので毎日しっかりと続いている。その後のアルコールでほろ酔い気分になった後、マウスピースを装着して眠ることもこれがまた気持ちが良くてしっかりと続いている。しかしまあ、長い間夕食後の歯みがきをしてこなかったということは恥ずべき姿であり、このブログを読んだ方からあきれられたり笑われたりする事態は避けられないだろうなあ。でも「老いの恥もかき捨て」だからいいのだ。と、うそぶいてみます。へへへへ。
(冒頭の写真は僕の愛用の電動歯ブラシと時どき使用しているフロスです。)

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