森のひとりごと

2019年7月8日

2019.07.08

   過日、母親の使っている電動ベッドをトイレに近い場所に移動させた。家の中での移動距離が長いことで転倒する事態が発生したからである。しかしながら電動ベッドは非常に重く1人で運ぶことができない。95歳の父や非力な次女に協力を頼むわけにいかず、母親のベッドをトイレ付近に移動する作業の手伝いを友人に頼むのも憚られた。しかたなく川崎にいる弟に連絡し、そのためだけに来てもらった。当初は弟と二人で運ぶことも無理ではないかと考えていたが何とかやり終えることができた。後日に筋肉痛はあったものの腰痛が出るということはなかった。前期高齢者の僕には無謀な作業だったかも知れないけれど何とか終えることができた。  この作業をしながら気付いたポイントがある。それは「せーの」と声を掛けあうことである。この「せーの」によって二人が力を入れるタイミングがぴったりと合い、力を最大化できるということだ。この「せーの」という習慣は日本人のほとんどが身に付けていて重作業をする際の強力な武器になっているのだ。このことを知らされたのが以前に読んだ「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」という本であった。終戦後にウズベキスタンに抑留された日本兵たちの苦労と働きぶり、そして成し遂げた成果をルポしたものだが面白く読ませてもらった。その本の中で、何故同じ作業をロシア人や現地の人よりも日本人が早くこなすのかが取り上げられている個所があり、ポイントが「せーの」という声掛けにあったと分析されていた。面白いのは作業効率の悪いロシア人などのチームにも「せーの」を教え、練習させると効率が上がった点である。恐るべし「せーの」文化。途絶えさせてはならない日本人の隠し業である。今日も「せーの」で行きますか。

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