森のひとりごと

2020年2月12日

2020.02.11

 数日前、中学生時代の仲良し同級生4人でいつものように飲んだ。僕を入れた男3人と女性1人の4人組である。最近は3か月に一度くらいのペースで会っているのだが、話題はいつも同級生の罹病のことになってしまう。同級生の誰それが入院したとか、手術したとかの類の話である。そして、次に話題になるのがそれぞれの親の介護や看護のことなのだ。僕らが67か68歳という年齢なのだから、僕らの親は90歳前後という世代だ。それぞれの家庭によって違いはあるものの、要介護認定を受けて施設にいるもの、通所しているもの、在宅で介護を受けているものなどと色々である。もっともわが家の父のように96歳でありながら要介護認定を受けていない強者もいるけどね。いずれにしても4人の老々介護者はそれなりに大変なのだ。
 話題は弾み、過日僕がブログに書いた話題、僕の母親の足の爪を切ったというエピソードになり、いくら親でも身体介護は難しいという話に終始した。やがて僕が、かつてある公共施設の浴場で同級生のT君が彼の細君の父親の身体を熱心に洗っている場に出くわし驚き、かつ感心したという話をすると、唯一の女性メンバーであるO嬢が驚くべき話題を提供してくれた。それは男性メンバー3人の中の一人であるロクさんの奥さんのエピソードであった。驚くことにロクさんの奥さんは姑であるロクさんの母親を自分も裸になって抱いて一緒にお風呂に入れていたというのである。姑を裸にして自分も裸になり自宅の浴槽に抱いて浸かり、浴槽の外で姑の身体を洗い、自分は裸のまま、脱衣スペースで身体を拭いてやり寝間着を着せ落ち着かせてから、あらためて自分が風呂に入るということを続けていたというのである。ロクさんは「そんなことを言うな!」と否定していたが、誰も知らない本当のことであるらしい。
 僕は本当に驚いてしまった。僕は実の親を抱き上げて椅子に座らせたりベッドに寝かせたり、父親と並んで身体を洗ったり、最近は母親の足の爪を切ったりしたけれど、身体的な接触は限られている。やがて終末期になれば本当の意味での身体介助の必要が生じるのかも知れないが、今のところは着替えをさせるというくらいの経験しかない。そんな僕にとって、ロクさんの奥さんの対応ぶりはこの世のこととは思えないくらいに驚愕であった。そんな嫁と姑の関係があるとは信じられない。それを口にした僕に帰ってきたロクさんの返事は、「大したことでちゃないちゃ」というものであり、妻を思う彼の気持ちや、妻に対するあふれんばかりの感謝の思いが詰まった言葉だと感じさせられ感動した。
 僕は両親のどちらであれ、裸にして風呂に入れてやることはとてもできないけれど、せめて今まで以上に接触の機会を作り、会話を重ねスキンシップを深めていきたいと思う。ロクさんの奥さんもロクさんも本当に立派だと思う。O嬢もN男も立派にそれぞれの親の介護をしている。みんなよくやっている。見上げたものだと思わされる。僕も負けてはいられない。産んでもらったこと、育ててもらったことに感謝だ!(竹内まりや風?)。毎日、少しづつでも話をしよう。スキンシップをしよう。長寿で元気な両親に感謝。感謝。いよいよわが家も、本格的な老々介護の時代に突入か? 頑張ります。

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