森のひとりごと

2023年7月16日

2023.07.16

 大阪までシルクドソレイユの公演を見に行ってきた。10数年前に東京の代々木公園の近くで開催されていた公演に行ったことがある。その時は帰りの飛行機の時間の都合で終演間際なのに途中退場するという、演者に対して失礼極まりない鑑賞態度だったので、その時の罪滅ぼしとの思いも込めて楽しんできた。カナダに本部がある主催団体がコロナの影響で解散したという情報を聞いていただけに、今回の日本公演は何としても見たいと思っていたので良い機会を得ることができた。内容は予想を上回るもので圧倒された。世界には信じられないパフォーマーがいるものだ。演技もさることながら、チェロ奏者とバンドネオン奏者の演奏、そして二人の歌い手の歌唱にも引き込まれた。そして驚いたことに終演後にスマホによる撮影が許可されて、カーテンコールの様子をカメラに収めることができた。(それが冒頭の写真である。)
 今朝のサンダーバードで帰って来たのだが、何と満席であった。隣の若者が大きめのパソコンを開いてヘッドセットを着けて何かを打ち込んでいた。ところが彼のキーボードを叩く音があまりに大きい。文節?を入力し終わるごとにエンターキーを打つ音が特に大きく、一丁上がり!!という感じで腕を動かすこともうるさく感じられた。完全に読書のペースを乱された僕は、躊躇の後に思い切って、しかし落ち着いた雰囲気で声をかけた。しかしヘッドセットをした彼の耳には届かない。仕方なく肩を軽く押すとやっと気づいてくれた。「悪いけれどもう少し静かに作業をしてもらえないかな。」と言うと素直に詫びてくれた。直後に通路の反対側にいた客と目が合うと同意のアイコンタクトを取ってくれた。見るとはなしに彼の手元を見ると、5紙程度の競馬新聞が開かれていてそれぞれに赤鉛筆でマーキングがされていた。彼の耳にもあのエンターキーを叩く音はうるさく響いていたのだろうなあ。もっとも若者はあのリズムと入力感が無いと仕事がしにくかったと見えて何度も文章を書き直したり推敲したりしていたが、やがて入力をやめてしまった。一方、赤鉛筆男の仕事は順調に進んだようでメモ帳にいくつもの数字を書き込んでいた。そんなこんなで周りを気にしていたら僕の読書も進まなかった。1人で2席を独占していた時代は良かったなあと独り言ちていた。やがて僕ら3人は並んで金沢で降車していた。それだけの話だけど…。

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